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相続財産調査
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相続の基本

相続財産調査

 

亡くなった人の財産はどうやって調べるの?

【質問】

親父とは一緒に暮らしていないので、親父の財産がどれだけあるのかわかりません。

【回答ポイント】

①不動産の所持がおおむねわかっているときは、その不動産の所在市町村の名寄帳で調べることができます。また、固定資産評価証明書でもわかります。

②預貯金に関しては、カードや通帳及び郵便物で口座をしらべます。最近はインターネットバンキング等ネットで管理されている場合もありますので、注意が必要です。

③休眠口座の場合、郵便物がないので、古いキャッシュカードはや古い通帳を頼りに調べます。

【解説】

 相続人調査と並行して、遺産調査も行い、相続発生後の財産内容を調べる必要があります。

 下記のような会話をしていませんか?

 「親と財産の話をしたことがなく、相続財産がどれほどあるのかわからない。」

 「親にいくら持っているか聞いたけど、教えてくれなかった。」

 「兄弟で仲が悪く、亡くなった両親と同居していた兄が預金通帳を持っているはずだが、持っていないと言っている。」

 「相続人の一人が葬儀のことや香典のことを取り仕切って、どのような状況かわからない。」

 「兄が相続の手続きをしているが、内容がわかない。」

等々、皆さん相続財産がどれだけあるかわからず、不満不安をお持ちです。

 

相続財産調査の目的

 相続財産調査の主な目的は、

❶相続をするのかしないのかを判断するため

❷権利があるのかないのかを判断するため

❸遺産分割協議のため

❹相続税を払う必要があるのか、ないのかを判断するため、また、相続税申告のため(これは税理士が行う調査です)

があります。

 

それぞれは、以下の通りです。

❶相続をするのかしないのか

 相続をするとプラス財産だけではなく、負債等のマイナス財産も相続することになります。プラス財産よりもマイナス財産の方が大きい場合、相続人は自分の財産で、負債を弁済していくことになります。

 相続人は、必ず相続しなければならないわけではありません。相続を放棄することもできるのです。

 そのための判断をするために、相続財産を調査する必要があるのです。

 

❷権利があるのかないのかを判断するため

 財産=もの、だけではありません。

 各種権利も財産になります。

 その権利を行使することができるのか、できないのかを判断するために、調査する必要があるのです。

 

❸遺産分割協議のため

 どのように遺産を分割するかを決めるための協議を遺産分割協議といいます。遺産がどれだけあるかを知らないと、分けることができないので、そのためにも、相続財産調査は必要です。

 

❹相続税を払う必要があるのか、ないのかを判断するため

 相続税は必ず払わなければならないというわけではありません。

 相続税には基礎控除があります。

 基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

 この金額以内であれば、課税されません。

 ですから、相続財産をしらべて、この金額以内であれば、相続税を払わなくてもいいのです。それを知るためにも、相続財産調査は必要になります。

 

相続財産調査の方法

 相続財産で大きなウエイトを占めるのは、自宅等の不動産と預貯金・有価証券等の金融資産です。

 不動産に関しては、所有していない場合もありますが、預貯金口座は基本持っていると思います。

 ですから、一般には相続財産調査というのは、不動産調査と金融資産調査ということになります。

 相続人調査と並行して、金融資産調査を始めます。

 預金通帳と郵便物から銀行、証券会社等がわかります。

 固定資産税の支払いから、どこの市町村に不動産を持っているかがわかります。

 

預貯金・債権の調査

 銀行の預貯金に関しては、ネット化されているものもあり、通帳やキャッシュカードがないものもありますので、注意が必要です。メール等が見れるのであれば、メール等で確認が必要となります。

 銀行口座の整理が出来ていない方も多いでしょう。自宅にいくつかの預金通帳やキャッシュカードはありませんか。

 それらの多くは、休眠口座になっている場合が多いのですが、いくら残っているのかわからない状態です。

 ※休眠口座=金融機関に預金として預け入れたまま、長期間その口座へ預金者側から出入金などの取引が行われなくなり、金融機関側から預金者への連絡も取れなくなった状態の預金口座のことで、特別の手続きをしないと引き出すことはできません。

 被相続人も同様の状態だったと思います。下ろしたいのだけれど、キャッシュカードは使えなくなって、近くにその銀行がないので、そのままにしているという場合です。

 そういった休眠口座も調べなければなりません。

 また、農地を持っている方は、農協に口座を持っているものです。しかし、一般の銀行口座を持っている方も多く、チェックが必要です。

 

 預貯金は、相続発生日(亡くなった日)の残高を取得することになります。調べたその日の残高ではありません。相続発生日の残高で分配します。

 

不動産の調査

 不動産に関しては、固定資産税の通知書に、どの市町村の不動産かがわかりますから、その市町村で名寄帳を取得します。名寄帳にはその市町村の課税不動産の全てが書かれていますので、不動産調査方法としてはとても便利です。

 ただし、この名寄帳には課税対象不動産しかのらないため、非課税の不動産(典型は公衆用道路)はのっていません。もし被相続人の不動産の前に私道部分がある場合、公図も取り寄せて、その私道についての登記簿謄本も取得するようにしてください。

 農家の場合、不動産の数が多数に及ぶ場合があります。漏れがないように名寄帳を取得して調べる必要があります。納屋や倉庫といった建物が未登記のままになっていることがあります。未登記であっても、遺産に含まれますので、注意が必要です。

 

【コラム】相続発生後の賃料・小作料

 遺産は相続発生時に被相続人(亡くなった方)が所有していた一切の財産であるので、相続発生後に遺産に含まれる不動産(農地や賃貸物件など)から生じた果実(賃料、小作料)は、遺産の範囲に含まれません。

 もちろん、遺産分割により農地を取得する相続人が決まれば、分割後の果実はその相続人に帰属します。その一方で、相続発生後から遺産分割までの賃料債権については、法定相続分に従って当然に分割され、各相続人が取得するものとされています。

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