財産管理等委任契約
現に財産管理できない状態にあるか、
その状態が予想そうされる状態にある方

『相続と終活の相談室』
運営:行政書士 オフィスなかいえ

財産管理等委任契約とは

財産管理委任契約とは

 財産管理委任契約とは、身体上の不調などの理由から自分の財産を管理できなくなった場合、若しくは、そうなる状態を想定して、自分の代わりに財産に管理を委ねるための契約のことを言います。

 通常、家族がいれば、こういった契約をしなくても、家族が行ってくれるので、基本、1人暮らしの方か、夫婦二人とも同様の状態が考えられます。

 この契約は、公正証書で契約を結ぶ必要はありません。しかし、この契約が、任意後見契約とともに作成することが多く、その時に、「公正証書にすることが普通です」と説明されて、公正証書にすることが多いと思われます。

 

 体調不良や老化などが原因で外出が困難になることで財産の管理が難しくなった場合に、代理で手続きを行う方が、一定の法律行為を代行できるようになります。

 財産管理のみならず、私生活におけるサポートなども契約に含められることから「財産管理委任契約」と呼ばれることもあります。

 

 

財産管理委任契約の問題点

銀行窓口において

(1)財産管理委任契約を結ぶことで一定の財産管理における手続きを代行してもらうことができますが、金融機関によっては財産管理委任契約を結んでいたとしても対応してもらえないことがありますので、事前に金融機関に「財産管理委任契約での窓口対応が可能か否か」を確認が必要です。

 

不動産売買

(2)不動産の売却などの手続きに関しては、その不動産の所有者の売却の意思があるかを確認する必要があることから、不動産管理は出来ても財産管理委任契約の受任者の判断だけで売却をすることは出来ません。

 

契約後のチェック

(3)財産管理委任契約は、民間人同士の契約となりますので、契約の履行を監督する公的な機関はありません。そのため、財産管理を受託された側の行為をチックをすることが難しい点があげられます。

 

医療行為について

(4)財産管理委任契約では、手術や延命治療といった医療行為に関する同意権がありません。

 

委任範囲

(5)財産管理委任契約における委任された権利の範囲は、一般に広く設定されがちです。特に任意後見と一緒に契約された場合、代理権目録に書かれた、財産管理委任契約にも適用される場合があります。

 

財産管理の始まり

(6)これも(5)と同様に、任意後見と一緒に契約した場合、財産管理をいつから始めるのかが書かれていない場合が多く見受けられます。

財産管理委任契約のおススメ

 上記で書いたように、契約の履行がされているかどうかはわかりません。

 理由は、財産管理委任契約が、判断能力が低下していない人を対象としているからです。そのため、履行状況の確認は委任者に委ねられています。

 しかし、委任者のよる確認も限界があり、現実に財産管理委任契約を悪用した事件も発生しています。

 そこで、契約の履行を確認する第三者を契約作成時に指定するのです。

 

任意後見契約とのセット契約

 財産管理委任契約は、任意後見契約とセットで利用されていることが多くなっています。

 判断能力があるうちは財産管理委任契約を利用し、判断能力に低下がみれれて、後見人が必要となった場合は、任意後見契約の移行するというものです。

 しかし、任意後見契約への意向がスムーズに行われないという点が問題視されています。受任者が家庭裁判所に、監督人選任の申し立てを行うのですが、契約の当事者が委任者と受任者の2人のみの場合、委任者に判断能力がなくなっているので、監督人の選任の申し立てを行わず、委任者の財産を不正に使用するという事件が発生しています。

 このような状況を防ぐために、第三者の監督人を置くことが有効になってくるのです。

 また、すべての財産を包括的に管理委任するのではなく、特定の財産等に絞るとか、監督人を置くことで、この制度を、有効に活用することとができるのではないでしょうか。